最初に見たのは、会社の会議室でした。
打ち合わせが終わって、一人で資料を片付けていたときです。
部屋の隅に、灰色のものがありました。
壁と壁がぶつかる縦の角から、細長い布のようなものが三センチほど出ていました。
壁紙が剥がれているのかと思いました。
でも、近づいてみると違いました。
それは壁の表面に貼り付いているのではなく、角の奥から出ているように見えたんです。
横から覗いても、反対側から覗いても、全体が見えません。
そこには二枚の壁があるだけなのに、灰色のものは、そのさらに奥へ続いているようでした。
触る気にはなれませんでした。
その日は、気味が悪いと思っただけで終わりました。
一週間ほど後、歯医者の待合室で同じものを見つけました。
部屋の角から、灰色の布のようなものが出ていました。
今度は五センチほどありました。
会社で見たものと同じに見えましたが、そんなはずはありません。
何キロも離れた、まったく別の建物です。
気になって何度も見ているうちに、受付から名前を呼ばれました。
返事をして、もう一度角を見ると、さっきより少しだけ長くなっていました。
それから、時々見かけるようになりました。
駅のトイレ。
居酒屋の個室。
出張先のホテル。
どこにでもある、ごく普通の部屋です。
決まって、壁と壁がぶつかる角にありました。
そして見るたびに、少しずつ長くなっていました。
十センチ。
十五センチ。
二十センチ。
あるときから、灰色のものの途中に、折れ曲がった部分が見えるようになりました。
肘のようでした。
その上には、丸い膨らみもありました。
頭に見えました。
そこでようやく、嫌な想像をしました。
何かが、壁の角から少しずつ出てきているんじゃないか。
でも、角の向こうには何もありません。
壁しかないんです。
それからは、部屋に入るたびに角を見るようになりました。
見つけても近づかない。
触らない。
なるべく目を離さない。
見ている間に動いたことは、一度もありませんでした。
ただ、目を離してからもう一度見ると、必ず少しだけ出ていました。
最後に見たときには、頭らしきものと、肩から腕にかけての形が分かるくらいになっていました。
それでも、顔は見えませんでした。
灰色のものが、角に挟まっているようにしか見えなかったんです。
ある日の夕方。
会社で仕事を終えて、廊下を歩いていました。
いつも気にしていた角が見えてきました。
そこには、何もありませんでした。
灰色のものが、なくなっていたんです。
思わず立ち止まって、角を見ました。
壁紙が剥がれた跡も、何かが挟まっていた隙間もありません。
ただの、普通の壁の角でした。
やっといなくなった。
そう思って、その角を曲がりました。
向こうから同僚が歩いてきました。
私を見るなり、足を止めました。
「……あれ?」
「どうした?」
同僚は答えず、私の顔を見ていました。
「何?」
そう聞くと、同僚は私が曲がってきた角を見ました。
それから、もう一度私を見ました。
「お前、さっきそこ通ったよな?」
「今、通ったけど」
「いや、そうじゃなくて」
同僚の顔から、だんだん表情が消えていきました。
「さっき、そこから出てきたよな?」
「だから、今来たって」
同僚は一歩、後ろへ下がりました。
そして、震える声で言いました。
「さっき、あの角から出てきたお前に『お疲れ』って言ったばっかりなんだけど」
生成AI:ChatGPT
モデル:GPT-5.6 Sol
制作:2026年9月
カテゴリー:ネット・現代怪談
タグ:ChatGPT
※本作品は生成AIによって制作されたフィクションです。

